『美人の日本語』が生まれるまで…(その4/7)


第18歩
◆困ったこと


 2ヶ月余りで、一年分の言葉を書き上げたわけですが、一番困ったのは、現在
 の季節がわからなくなったことです。
 
 たとえば、春の言葉を書いているときは、すっかり身も心も春の気分になってい
 ます。
 外に出ても、ずっとその気分を引きずっていました。
 
 ちょうど、木枯らし1号が吹いた頃、思わず、
 「あ、春一番!」
 と、言ってしまって、周囲から心配されたこともありました。


第19歩
◆新年
 
 12月28日に原稿を送って、これで、すっかり解放されると思っていました
 ので、新年は、ゆったりと過ごすことができました。
 
 家の近くに、生田神社の分社の御旅神社があります。
 毎年、家族でお参りするのが恒例となっている神社です。
 
 ここのおみくじには、吉凶の他に、和歌が書かれているんです。
 
 私がひいたおみくじに書かれていた和歌は、 
 
 〜桃桜 花とりどりに 咲き出でて 風のどかなる 庭の面かな〜
 
 ところが、のどかどころか・・・。


第20歩
◆11行

 
 ゲラ刷りになった原稿が、どっと宅急便で送られてきました。
 
 11行にそろえたはずなのに、「 」をとったり、句読点の調整、字体の関係など
 で、10行や9行になっています。
 
 一度出来上がったものに、あと1行増やす作業は、想像以上に難しいものです。
 
 「どうしても無理であれば、10行でもかまわない」
 
 とメールには書かれてありましたが、私は、11行にしなければ気がすみません
 でした。
 作詞の時は、字数やシラブルにまで、こだわって作るのですから。
 
 そして、四苦八苦しているうちに、校正があがってきました。


第21歩
◆校正


 校正というと、単に、誤字脱字を訂正することかと思っていました。
 
 しかし、『美人の日本語』は、かなり幅広い内容になっています。
 
 歴史的事実の確認、和歌や読み下し分の用字などまで、細かくチェックが入り、
 問い合わせがきます。
 それを、ひとつひとつ、どの書物に載っていたか、報告しなければなりません。
 
 たとえば・・・。


第22歩
◆校正 その2


 メルマガで、『栞』を扱った時には、
 
 〜水戸光圀が、“近頃のもの”だと言って、宮廷に『栞』を献上した記録があるそう
  です。
  その時の後水尾天皇が、先ほどの西行の和歌を書き付けて、使われたとか〜
  
 と書きました。
 
 これは、江戸時代の随筆、「茅窓漫録(ちそうまんろく)」に記載が見られる
 ということで、書いたものなのです。
 
 ところが、あがってきた校正には、
 
 〜水戸光國(1628年〜1700年)、後水尾天皇在位期間(1611年〜1629年)
  光圀2歳の時に、後水尾天皇は退位しています・・・〜
  
 とあります。
 
 恐るべし!
 『茅窓漫録』の間違いまで、発見してしまうとは・・・。


 -*-*-*-(つづく)-*-*-*-

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